施工インタビュー #01

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Adora Magic City

2023年 施工

田中 剛
海外事業部 営業課

田中 剛

担当工事の特徴を教えてください。

当社では初めての本格的な海外(中国・上海)での施工を含めた一括請負工事となり、中国のパネル製造メーカーである華南建材(HBM)との協業工事としてスタート致しました。
中国においても初の大型客船という事で、中国国内での注目度も高く、イタリアの客船建造大手、Fincantieri が上海外高橋造船(SWS)のアドバイザーとして参画しました。
当社が本プロジェクトに参加するきっかけとなったのは、三菱重工業長崎造船所にて建造された客船AIDAの内装工事を手掛け、Carnival社が当社の仕事を高く評価して頂き、発注頂きました。

前置きが長くなりましたが、当社とHBMが請け負ったエリアは2区画となります。
乗組員が使用するCrew Public area(JA14)、施工㎡=1,221㎡、乗客が利用するレストラン、Miracle Garden Restaurant(JA10)、施工㎡=2,028㎡の2区画です。
壁・床タイルや、壁・家具用メラミン、テーブル天板用人工大理石、カーテン生地・ソファー張地は船主指定品を欧州から調達を行い、他の艤装商材については中国国内と日本から調達を行っております。
現場管理の体制は、欧州商材の調達に関しては調達課の協力を得ながら納品までの管理を当社が行い、中国商材に関してはHBMがメインとなって、納品までの管理を行いました。
また現場での技術的なフォロー、製品の検品や船主・船級検査については当社がメインとなり対応をしております。
現場作業者の管理についてはHBMがフォローを行い、現場施工がスムーズに進むよう両社で打合せを行いながら施工管理を行いました。

今回の工事で特に気を付けた点、難しかった点。

幾つか気を付けた点はあるのですが、一つ挙げるとしたら欧州からの輸入品の手配時期並びに納期です。海外からの輸入品を中国国内の業者に納品して、加工を行い最終的に現場に納品する艤装品や、現場に直接納品し施工する商材もありましたので、現場の工程から逆算して各接点を決定し、現場施工まで流れを管理する必要があります。早く納品してしまうと、保管場所に苦慮しますし、遅すぎるとそもそもの現場施工に間に合わない事になってしまいますので、現場の状況、製作メーカーの状況、材料供給メーカーの状況を把握し適切なタイミングで手配し納期を設定する事に細心の注意を払いました。しかし上海ロックダウンやコロナの影響により前工程の遅延や現場工程の遅延、輸送網の麻痺が発生、当社が購入した一部材料の有効期限が切れてしまい、再手配が必要になってしまった物もありました。現場状況や世界情勢等をしっかりと把握し適時納期管理に反映をすべきでした。2番船ではこの経験を活かし、納期管理の方法見直し等含め、事前準備検討を行って参ります。

難しかった点と言うか苦労した点になるのですが、現場での意思疎通に苦労しました。現場の作業者、HBMの現場担当者とのコミュニケーションは中国語となります。しかし中国語を話せるのが張社員しかいない為、どうしても一人で対応する場面が出てきます。その時はスマートフォンの翻訳アプリ等を利用し意思疎通を図るのですが、現場の技術的な事については細かなニュアンスを伝える必要がある事が多々あるのですが、きちんと伝わらずこちらが意図した事と異なる施工をしたり、仕上がりになったりといった事がありました。結果後戻り工事に発展する場合もあり、現場レベルでの意思疎通が一番難しかったのかなと思います。

完成後の感想

まず初めに本プロジェクトにて設計部、調達課の多大なご協力を頂き、無事当社区画の完工まで終える事が出来ました。誠にありがとうございました。
現場からの難しい要望もあったかと思いますが、粘り強く対応を頂き、感謝申し上げます。
当社としては海外で初めての施工を伴う大型案件且つ世界的なコロナ渦の真っ只中でのスタートという事もあり、出だしから沢山の困難がありました。中国渡航のVISAが出ない、上海でのロックダウン、渡航時のホテル隔離等仕事以前の問題もありました。
また中国と日本での仕事の進め方が異なる事もあり、HBMと意見が対立する事も多々ありました。しかし両社が歩み寄り協力していくことで、無事完工まで終える事が出来た事は当社としては勿論、海外事業部としても大きな自信に繋がったのではないかと考えております。今回得られた経験を元に、続く2番船を粛々と進めていくのは勿論のこと、今後の海外営業展開へと発展させていきます。

INFORMATION施工情報

工事名称
H1508 Adora Magic City
工事場所
上海外高橋造船所
工事期間
2021/8/16 – 2023/11/4 (ロックダウン含む)
船主
Adora Cruise
船級
LR
DK数
20 decks
総トン数
135,500GT
全長
323.6m
全幅
37.2m
客室数
2,125室
乗客数
5,246人